手術前に絶食できなかった患者さんは大丈夫なんでしょうか?
2007年 11月 01日
手術する前には、麻酔のために
半日以上前から絶食するのだと聞きました。
でも、緊急手術で同じように全身麻酔する患者さんは
半日も絶食していない人が多いと思うんですが、
麻酔をかけても大丈夫なんでしょうか?
A;
緊急に手術となったために
麻酔前に絶食ができなかった患者さんでは、
麻酔の危険性が高くなります。
ですのでその危険性と緊急度とを天秤にかけなくてはならないのです。
今すぐ必要な手術であれば危険ではあるけれどすぐに麻酔、となるし、
ある程度(半日程度でも)遅くなってもかまわない手術であれば
開始時間を遅らせてからの手術とすることもあります。
絶食ができなかったときに危険なのは、
全身麻酔で寝た直後に嘔吐すると吐物が肺に流れ込んで
重症の肺炎(誤嚥性肺炎;ごえんせいはいえん)を起こすことがあるからです。
絶食ができなかったときにその肺炎を防ぐような技術はもちろんありますが
確実ではないことと種々の合併症がありますので、
やはり絶食できるものならした方が
肺炎予防の点からは安全なのです。
ただ、絶食していない場合でも数百人に一人程度の頻度ですので
(患者さんは)過度の心配は不要と思います。
ちなみに絶食している場合でもこの肺炎は完全には防げず、
およそ数千人に一人で発症すると言われています。