持病を持っている場合の全身麻酔のリスクについて教えて下さい。
2008年 05月 21日
私は先天的な脳血管の病気で放射線治療を受けました。
まだ完治していなくて、
今後の検査結果により治療を追加するかもしれない状態です。
しかし症状は全くなく、普通に暮らしています。
今回、胆石症がみつかり内科の先生に手術を勧められました。
脳外科の主治医には胆嚢摘出手術の話をして
大丈夫だと言われていたのですが、
外科を受診したところ
「全身麻酔は通常でもリスクがあるが、あなたの病気はリスクが高すぎるので
癌などでなければ今すぐ手術の必要性はない」と言われ手術中止となりました。
私としては、先々の不安もあり手術するつもりでいたのですが…
脳血管の持病があると、全身麻酔はそれほど危険なのでしょうか?
持病が100%完治するまで私は全身麻酔を受けられないのでしょうか?
A;
持病がある患者さんでの全身麻酔は、それがない患者さんの全身麻酔よりも
少し危険性が高くなります。
その「少し」をどう考えるかで、手術するか否かを決めることになるわけです。
可能性としては「少し」でも、あなたの病気では手術中に
やむを得ない経過などで頭蓋内出血が生じれば
命にかかわる大変なことになりますので、
躊躇する外科の先生のお気持ちもごもっともだとは思います。
あなたの具合の詳細がわかりませんので、この一般論以上のことは
ここでは申し上げることはできません。
他の意見も聞きたいということでしたら他の病院の外科の先生に相談するか
麻酔科の診察を受けるかをお勧めします。
いずれにしても今おかかりの脳外科と内科の先生から
紹介状を書いてもらうといいでしょう。
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必要ではない手術というのは存在しませんが、
必要度というものはやはり存在します。
1);手術しないとすぐにでも命の危険が生じる手術
(大けがで大出血している場合や、
腸がつまって破裂し全身に菌が広がってしまっている場合など)
2)-1;手術すれば根治できる癌の手術
(手術しなければ数年の命なのが、
手術すれば天寿を全うできるであろう場合など)
2)-2;近いうちに命の危険が生じてしまうのを予防する手術
(放っておけばほぼ確実に腸閉塞になりそうな状態を
改善する手術など)
2)-3;すぐには命にはかかわらないけれど、
手術しないと生活がとても不便な場合
(骨折していて、手術しないと何週間も寝たきりになっている間に
他の病気になってしまう心配がある場合など)
3)-1;命にはかかわらないし手術しないと生活できないわけではないけれど、
生活に支障がでているような場合
(ひどい腰痛であまり出歩けないような場合など)
3)-2;今すぐ命にはかかわらないけれど、
手術しておくと将来大きな病気になることを予防できるであろう場合
4)手術しないととても生活が不便というわけではないけれど
手術することで病気自体をよくして生活の質を上げることができる手術
考え方により順序が多少変わるかもしれません
(特に3-2は予防できる疾患によってはもっと上になるかもしれません)が、
とてもおおざっぱに言うとだいたい、上の方がより必要だと考えられるわけです。
このうち1)の場合には、たいていはどんな重症な持病をお持ちの方でも
手術は行われます。
2)の場合にも、重症な持病をお持ちでも(患者さんが希望すれば)
ほとんどのケースが手術にもっていかれると思います。
ですのでご質問の
>持病が100%完治するまで私は全身麻酔を受けられないのでしょうか?
については
脳外科の先生のそのお話のしかただと恐らく2)についても
手術は受けられると思います。
3以降については、
患者さんが「わずかでも手術によって頭蓋内出血する危険があるのを承知して」
そのうえで手術を強く望むのであれば、手術が行われることもあるかもしれません。
あなたの場合にもうひとつ考えなければいけないのは時間の要素です。
>今後の検査結果により治療を追加するかもしれない状態
じきに持病が今よりもいい状態になることが望める、というというのであれば
それを待つことは、麻酔の危険性を低くするためには
とても重要なことだと思います。
例えば、インフルエンザで40℃の熱が出れば、たとえ癌の手術でも
治るまで延期しましょうとなります。
これと同様に、時を待つことでリスクを減らすことができるのなら
(待つことで病気が進むというリスクと天秤にかけながらですが)
待つことも選択肢のひとつとなるでしょう。