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麻酔科医はどの病院にもいるのでしょうか?

Q;
外科があって手術をしている病院には
麻酔科医は普通いるのですか?
かかっている病院の看板には麻酔科とは書いてありませんでした。

手術を受ける方向で話を進めているのですが
病気持ちなので麻酔も心配です。
外科の先生ともまだよくお話していません。


A;
おかかりの病院には、常勤の麻酔科医はいないかもしれません。

麻酔科学会認定病院というものがあります。
麻酔科専門医が常勤でいる(常駐している)病院です
(認定には他の条件もいくつかあります)。
全国に800弱しかありません。
こちらから検索できるので、
おかかりの病院がここにあれば、常勤の麻酔科医はいるはずです
(ここのリストになくても常勤がいる病院もありますので、
 正確なところは外科の先生にお問い合わせください)。

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常勤の麻酔科医がいない病院での大きな手術は、
麻酔科医を他の病院からその日だけ呼ぶか
あるいは外科の先生が麻酔も担当するか、で手術を行なうこととなります。

麻酔だけに関して言うならば、
わたしは麻酔科医が常勤している認定病院が
一般的にはより安全だと思います。
麻酔は本来、手術当日だけのものではなく
手術前に患者さんとお会いして話すことから始まり
手術の後のフォローまで専門家が担当して初めて
きちんとした麻酔になるものだからです。

しかし、まずは手術あっての麻酔です。
どの病院でも受けられるような手術ばかりだとは限らないでしょう。
ですから現実的には、手術をする外科の先生を信頼して
手術をお決めになることが大事だと思います。

その外科の先生を信頼しているのであれば
麻酔に関しても是非ご相談してみてください。
麻酔は誰が(常勤麻酔科医か非常勤か外科の先生か)
担当することになるのか、
あなたの持病はそれで大丈夫だと判断されているのかどうか。

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外科手術が行われる病院すべてに
常勤の麻酔科医がいることがもちろん理想です。
しかし現実的には麻酔科医が足りなすぎるため
そういうわけにはいかないことを、心苦しく思っています。

重い持病をお持ち、あるいは麻酔に関して不安をお持ちであれば、
手術を受ける病院をまだ決めていない場合には
麻酔科学会認定病院もぜひ選択肢の一つとして考えてみてください。
# by narkome_d | 2008-10-27 22:11 | これから麻酔を受けるのですが

自分は麻酔中に何かを口走っていなかったでしょうか?

Q;
麻酔が終わった後に、
「何か夢を見てましたか?」と訊かれてしまいました。
実際はぐっすり寝ていたので何も覚えていないのですが、
自分はひょっとして何かを口走っていたのかと
今になって心配になってきました。
麻酔中にあらぬことを口走ったりする人もいるんでしょうか?


A;
「何か夢を見ていませんでしたか」
「眠っている間に何か聞こえたような記憶はありますか?」
などというのは、
原則として全身麻酔の患者さん全員にお訊ねする、
一般的な質問です。
何か口走っていたから訊いているわけではないと思います。
ご安心ください。

全身麻酔中に患者さんが起きていなかったかどうかというのは、
現在の医学では麻酔中に知ることはできません。
麻酔が終わった後にご本人におききしないと確実なところはわからないのです。
それで、麻酔が終わった後にそういう質問をされたのだと思います。

麻酔中に起きてしまっていると、ひどい場合には
それが原因でPTSDになってしまう患者さんもいらっしゃるので、
「麻酔の後に手術中の記憶がなかったかどうか」を麻酔科医が訊ねるのは
PTSDへ対処するためにも必要なことだと言われています。

以下を参考に;
全身麻酔中に目が覚めてしまうことはありますか?
内視鏡検査の全身麻酔で、途中で目が醒めました
静脈麻酔って何ですか?
# by narkome_d | 2008-09-23 14:32 | 麻酔後の質問

腰椎麻酔で手術中に、足を曲げている感覚が残っていたのはどうしてだったのでしょう。

Q;
以前、腰椎麻酔を受けたときのことです。
注射をするときに、足を抱えるようにして注射をしますよね。
麻酔が効いてくると、腰から下の感覚はなくなってくるのですが、
足を曲げている感覚が消えず、
とても気持ちが悪かったという記憶があります。

腰から下の感覚は麻痺しているのに、
なぜ足を曲げている感覚が残っているのでしょうか?
それとも、ただの錯覚なのでしょうか?


A;
同様の質問を、実際の患者さんからよくいただきます。
麻酔の注射が終わった後に
仰向けになって足をまっすぐに伸ばしているのに
「足を曲げている感覚」が残って、とてもへんな感じなんですよね。

麻酔薬を注入した時には足を曲げていましたよね?
足がその姿勢のままでいるのだと、
脳が錯覚を起こしてしまっているのです。

麻酔がかかってしまうと、脳が「麻酔がかかった部分が
いまどんな姿勢でいるのかわからなくなってしまう」ので、
わかっていた最後の記憶(麻酔がかかり始めたときの姿勢)をたよりに
今の足の状態を想像している、ということのようです。
# by narkome_d | 2008-08-24 22:30 | 麻酔後の質問

「麻酔が専門」の医者がいるって本当ですか?

Q;
麻酔が専門の医者がいるって本当ですか?



A;
本当です。

「麻酔科医」といいます。
ほとんど一日中手術室の中にいて
手術の麻酔を専門にしている医師が
日本には約7000人います。
内科の医師は約10万人弱、外科医は3万人弱、
整形外科医が約2万人、産婦人科医が1万人くらいでしょうか。
これらの科と比較すると少ない数ですが、
大きな総合病院には必ずいるといって過言ではないのが麻酔科医です。

「麻酔」というと、歯医者さんの麻酔のように
傷の場所、あるいは傷の近くに麻酔薬を打って
傷の場所を痛くなくすような麻酔を
まず連想する方が多いかと思います。
それももちろん麻酔の一種なのですが、
しかし麻酔科医が主に専門とするのは
点滴やガスの吸入などで手術中にずっと投与しつづけるような麻酔です。

そういった麻酔というのは、
ちょっとでも多すぎれば患者さんの体に負担がかかりすぎるし
麻酔からなかなか醒めなくなる、
逆に少なすぎても
患者さんの体に大きなストレスがかかることになるし
全身麻酔なのに手術中に目が覚めてしまうということも起きかねない、
また重い持病をお持ちの患者さんなどでは
ちょうどいい量の麻酔にさえ体が耐えられなくて
他の薬(たとえば心臓の力を強めるような薬)が
必要になることもあります。
だから手術の進み具合と患者さんの状態を常に見守りながら、
刻々と変化する手術によるダメージの大きさと
お身体の状態と麻酔薬とのバランスがうまくとれるように、
手術中ずっとつきっきりで麻酔を調節している専門の麻酔科医が
現在の手術では必要なことが多いのです。

昔は外科の先生が麻酔も担当することがよくありました。
ですので、「専門の医師でなくても麻酔は簡単に行える」
と考える風潮も以前にはありました。
しかし昔は例えば脳外科や整形外科の手術も
外科の先生が行っていた時代があったのです。
それが今では専門が細かくなったことで、
そのぶんの高い医療技術が実現しました。
脳外科の手術は脳外科の先生にお願いしたい、
整形外科の手術は整形外科の先生にお願いしたいと思うのが
今では普通の考えだと思うのですが、それと同じように
「麻酔は麻酔を専門としている麻酔科医が担当するのが
最も安全だろう」と考えるのが今では一般的だと思います。

高い医療技術と先ほど申しましたが、
近年は重い持病をお持ちの患者さんが手術を受けることが
昔よりもだいぶ増えました。
20年前には65歳以上は高齢者として
慎重にあたらなくてはならないとなっていたのが、
今では65歳の手術患者さんはどちらかというと
「まだお若い」という印象です。
透析を受けている患者さん、
心筋梗塞をしたことがあって激しい運動はできない患者さん、
90歳をこえた患者さん、・・・
例を挙げればきりがありませんが、
そういった「難しい」患者さんが増えてきたことも
麻酔科医が必要とされる理由です。

しかし残念ながら日本では麻酔科医の絶対数が不足しているために、
麻酔科医がすべての手術麻酔を担当できていないのが現状です。

すべての手術患者さんに
少しでも安全に手術を受けていただけるようにと
願ってやみません。


参考; 麻酔科医になるには どうしたらいいのですか?
# by narkome_d | 2008-07-30 15:45 | ちょっとした疑問など

帝王切開中の吐き気はどうしておこるのですか?

Q;
帝王切開の最中に、気持ち悪くなりました。
原因は何なのでしょうか?


A;
局所麻酔(腰椎麻酔や硬膜外麻酔)での帝王切開では、
手術中に吐き気がでることがしばしばあります。
お辛かったこととは思いますが、心配要らないものがほとんどです。

ご質問の「原因」ですが、吐き気がでたのがいつかによって
原因はだいぶ変わってきます。

「麻酔が終わった後から赤ちゃんが生まれるまで」に出る吐き気は主に、
麻酔のために血圧が下がることが原因です。
妊婦さんはそうでない方に比べて麻酔による血圧低下が出やすいのです。
ただしそれに備えてお薬(血圧を上げることで吐き気を根本的に治す薬です)は
すぐ使えるように準備してありますし、
使えばすぐに治ることがほとんどですので、
心配しないで「気持ち悪いです」と伝えるようにしてください。

「赤ちゃんが生まれてから手術が終わるまで」の場合には、
後陣痛あるいは子宮への刺激が原因となることが多いようです。
子宮というのは刺激されると吐き気がでやすい臓器なのです。
出血を止めるために強い後陣痛を薬で人工的に起こしたり、
あるいは子宮を持ち上げたり刺激したりするので
吐き気がでることがあります。
これには吐き気止めの薬を使うこともできますし、
あるいは赤ちゃんが生まれた後に、眠る薬の点滴を使うと
吐き気も感じずに眠っている間に終わることがほとんどです。

「手術が終わってから」の場合には原因はさまざまです。
多いのは、子宮への手術の刺激がまだ残っていること、
後陣痛を起こす薬を引き続き使っていること、
麻酔薬の影響(特に硬膜外の管から薬を注入して
術後の痛みを取っている場合)などです。
吐き気への対処は状況によって変わりますし、
まずは担当の先生とご相談することをお勧めします。
# by narkome_d | 2008-06-25 21:49 | 麻酔後の質問

麻酔に関するQ&Aとかなんとか。 まったりやってます。


by narkome_d