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大きな手術では、輸血は必ず必要なのではないですか?

Q;
手術で身体を切り開く時、輸血って絶対必要なんじゃないんですか?
王監督が手術を受けたときには無輸血だったそうですが。。。


A;
ヒトの体は多少の出血には耐えられるようにできています。
生きるために必要な血の濃さよりも、もともと濃い目の血になっているので
多少(数百mlくらい)なら出血しても
(出血それ自体だけなら)体にひどい負担はかからないのです。
ですので一般的には、大きな手術でも輸血が必要になることのほうが少ないです。

例えばある病院のデータですが、
胃癌の胃切除術での輸血率は約5%(20人に1人)
大腸癌の結腸切除術での輸血率は約3%(30人に1人)となっています。

輸血が必要になることが他と比べて多いのは、
・出血量が多い手術(大動脈の手術や肝臓の手術など)
・もともとの貧血がひどい患者さん
・もともとの体重が軽い患者さん(特に小児・新生児で出血が多い手術)
・大出血をしている方の緊急手術
・人工心肺を使う手術
などが挙げられますがこれはあくまで一般論ですので、
患者さん一人一人について輸血が必要かどうかは異なってきます。
# by narkome_d | 2007-05-10 23:30 | ちょっとした疑問など

手術に必要な「体力」ってどういうものですか?

Q;
テレビドラマなどでよく、手術前の説明で医師が
「体力がもつかどうか・・・・」と言ってますが、
該当する体力とはどういうものでしょうか?
またそれは、鍛えたりできるのでしょうか?


A;
手術の際の「体力」として重要なのは、心肺機能(持久力)です。
手術を乗り越えられる体力があるかどうかを推し量るのに、
通常は「どの程度の日常生活を送ることができているのか」を
患者さんにはお訊ききすることが多いです。

1)身の回りのこと(着替えや炊事、簡単な掃除)ができる
2)軽い外出ができる
3)駅の長い階段を休まず登れる、床の拭き掃除ができる
4)2~3時間のハイキングや軽い運動ができる
これらが、下の方になるほど「体力がある」と考えます。
若い方ですとどれもあたりまえのようにできることでしょうけれど、
高齢の方ですと「駅の階段でも休み休みでないと登れない」と言う方も
めずらしくないですので、
これらの質問がとても大事になるのです。

手術は体にとても大きなダメージとなります。
麻酔の進歩によって
そのダメージをだいぶ和らげることができるようになってきましたが、
それでもゼロにすることはできません。
そのダメージを受けたときに、例えばある手術だと
心臓や肺に「駅の階段を休まずに登るくらいの負担」がかかるので、
その程度の体力が必要だ、ということになるのです。

特に体力が必要となるのは大怪我の手術、腹部などの緊急手術や
心臓手術・大動脈の手術などですが、
これらの手術を寝たきりや寝たきりに近い方が受ける場合には
「体力がもつかどうか。。。」ということになるかもしれません。

そのようなケースではなくて、
十分な体力をもともと持っているような若い患者さんで
「体力がもつかどうか」という話になる場合には、
「病気の勢いが大変強くて(大怪我など)、
それを治療で抑えきれるかどうか」という話であることがほとんどです。
実際の問題は「病気や怪我」の方であって、
ご本人の体力ではないことが多いようです。

心肺機能としての体力を鍛える、ということでしたら
日常的にスポーツなどで心肺機能(持久力)を鍛えるといいでしょう。
これらの低下が問題となるのは60歳を過ぎてからのことが多いですので、
長い目で、ずっと続けるのを目標としていただくといいかもしれません。
# by narkome_d | 2007-05-10 23:25 | ちょっとした疑問など

大酒のみは麻酔が効きにくいのですか?

Q;
今度手術を受けることになりました。
自分はかなりお酒を飲むので、
麻酔が効かないのではないかと心配で仕方ありません。
本当に大酒飲みは麻酔が効きにくいのでしょうか?


A;
お酒をよく飲むというだけなら、
麻酔の効きを心配する必要はほとんどありません。
安心してください。

局所麻酔については、お酒と麻酔の効きとはまず関係ありません。
どんな麻酔にも効きには(お酒と関係ない)個人差があるのですが、
たまたま局所麻酔が効きにくかった方がお酒のみだと
「ああ、お酒を飲むから麻酔が効きにくかったのかもしれない」と
お酒のせいにされてしまう、こういったことが積み重なって
歯医者さんの局所麻酔などに関しても「お酒のみは麻酔が効きにくい」という
俗説が出来上がってしまったのでしょう。

全身麻酔についても、
「お酒を飲むと麻酔が効かなくて辛い思いをするかも」
といった心配はまず要りません。
手術中に使う麻酔薬の量が少し多く必要になることはありますが、
必要なだけの量を(多く)使えば十分眠ることはできるのです。
その量を厳密に調節するためにも麻酔科医がいるのですから、
安心して麻酔を受けてください。

ただし、アルコールを毎日多量に飲んでいて飲まないと禁断症状が出たり、
またはアルコールで肝臓や心臓がひどく弱っているような場合には
(アルコール性肝硬変やアルコール性心筋症)、
麻酔の効き以外の問題が生じます。そのような点には注意が必要です。
# by narkome_d | 2007-02-12 14:08 | これから麻酔を受けるのですが

転移性肺がんの手術の麻酔は?

Q;
転移性肺がんの手術は、全身か局所のどちらの麻酔を使うのですか?


A;
肺(の一部分)を切除する手術となるでしょうので、
呼吸を長時間止めないとできない手術ですから全身麻酔が必要です。

ただし、局所麻酔の一種(硬膜外麻酔)を併用して
行うことが一般的です。
硬膜外麻酔というのは通常、全身麻酔で眠る前に5~10分程度かけて
背中から行う麻酔です。
糸のように柔らかくて細いチューブを背中に入れておいて
手術中~術後に痛み止めの薬を流すことができるので、
この麻酔を受けておくと手術後がだいぶ楽に過ごせるはずです。

ですので、質問へのお答えは、
「全身麻酔は必要で、それに通常は局所麻酔(硬膜外麻酔)を併用することが多いです」
となりますね。
# by narkome_d | 2007-01-22 00:40 | 麻酔法

手術後に、寒くないのに体が震えたのはどうしてだったのでしょう?

Q;
以前、帝王切開をしたときのことです。
手術終了と同時に急に体全身がガタガタと震えてきました。
手術前も手術中も至ってノホホンとしていたつもりだったのですが、
実は怖かったのでしょうか??
それとも、体温が急激に下がったのでしょうか?
こういうことってあるものですか?


A;
腰椎麻酔(下半身麻酔)での手術で、
寒いと感じていないのに体が震えることは
珍しいことではありません。

普通、麻酔がかかっている部分というのは
そこから「冷え」が来やすい(体の熱が奪われやすい)のです。
(下半身麻酔なら下半身から冷えやすくて
全身麻酔なら全身から冷えやすいのです)。
腰椎麻酔の場合には下半身の感覚がありませんから
「下半身が寒い」というのがわからないですよね。
しかし実際は下半身から冷えていっているので、
それで震えがおきるのだと理解していただければと思います。

手術が終わって急に震えが来たということですが、
普通は手術が終わると
体を覆っていた布を一斉にとりのぞき、
体についている血や消毒液を拭いて体をキレイに整えます。
この時に(覆っていた布をとりのぞいたせいで)
急激に下半身に冷えが来て、それでガタガタと震えてきたのでしょう。

びっくりしたことと思いますが、
もともと健康な方で手術に問題なかったのなら、心配要らないものです。
# by narkome_d | 2006-12-31 22:20 | 麻酔後の質問

麻酔に関するQ&Aとかなんとか。 まったりやってます。


by narkome_d